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ラテンアメリカ:臨床試験実施に恵まれた地域と環境

概要

近年、ラテンアメリカは臨床試験においてますます重要な地域として注目されている。この魅力的な市場を理解するために、今回、ラテンアメリカでの重要なデータから、いくつかを紹介していく。ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)によれば、ラテンアメリカでは慢性疾患の有病率が高く、中でも虚血性心疾患が目立っている。その結果、心血管疾患はこの地域で最も多くの死因となっており、例えばメキシコでは2021年の総死亡者数の20%を占めていた。また、ブラジルでは最新の国民健康調査(2019年)によれば、死因の第1位となっている。また興味深いことに、ラテンアメリカでは型糖尿病も非常に多く見られている。2019年には、3,200万人が糖尿病に罹患しているとも言われており、今後25年間で有病率は55%上昇すると予想されるデータもある。

さらに、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)によると、ラテンアメリカ・カリブ海地域では、年間150万人のがん患者が新たに発見され、罹患率と死亡率はそれぞれ10万人当たり0.18%と0.08%であった。2020年最も多いがんは、前立腺がん(15%)であり、そして、乳がん(14%)、大腸がん(9%)、肺がん(7%)、胃がん(5%)の順となっていた。

ラテンアメリカは気候区分において熱帯気候であるため、感染症が広がりやすい地域でもあり、その中には熱帯疾患として見なされるものもある。2023年にはデング熱の患者数が増加しており、最も罹患している国は、ブラジルで864,147人以上と想定されている。その他、アルゼンチン、コロンビアなどでもかなりの人数が発症している。なかでもパラグアイは、現在、チクングニア熱の流行に直面し、72,022件以上の診断が確認されており、アルゼンチンを上回っている6。また、ラテンアメリカで懸念されるもう一つの感染症は、シャーガス病で、全米保健機(PAHO)によると、約600万人が感染し、年間平均12,000人が死亡しているデータもある。

臨床試験のマーケット

Figure 1.Statistics of clinical trial cases
出典Clinicaltrials.gov (2019) & IQVIA Institute Reports.#臨床試験対投資額(米ドル)

グローバルの製薬業界は、2019年だけでラテンアメリカに10億ドル以上を投資し、約700件の臨床試験を資金提供した。特にブラジル、アルゼンチン、メキシコの3カ国がこの地域の臨床試験の約70%を担っていた

近年のラテンアメリカ治験環境は、製薬企業や研究者にとって魅力的な地域になり、臨床試験を行う上で様々なメリットがある。以下に、その主な理由を……

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