Oncology Times

KOL対談:日常診療におけるポリシー、治験への取り組みについて

今月のOncology times intellimは、インテリムのオンコロジー開発でいつも大変お世話になっている国立がん研究センターの3名の先生との対談をお届けします。
先生方の日常診療でのお考えや治験への取り組みなどについて率直なご意見をうかがうことができました。是非ご覧ください。

対談させていただきました先生のご紹介

〈Y.T.〉

本日は、国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科の奥坂 拓志(おくさか たくじ)先生、森實 千種(もりざね ちぐさ)先生、肱岡 範(ひじおか すすむ)先生にお話を伺います。先生方、本日はお時間をいただき、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。現在、弊社のオンコロジー開発部では、取引先の製薬企業様に対して「Oncology times intellim」というコラムを月に一回発行しております。今回は、臨床試験及び治療に関しまして先生方にインタビューさせていただきたく存じます。先生方には、治験等の臨床試験への取り組みをアピールいただく場としていただけますと幸いです。進行は、株式会社インテリムのCRAをしておりますY.T.が務めさせていただきます。

さて、早速ですがインタビューに移らせていただきます。先生方は日頃よりご多忙と存じますが、先生方が日常診療で大事になさっているポリシーはございますか。また、常に業務が重なっている日々かと存じますが、そのような時は、優先順位のつけかたなどはございますか。

〈肱岡先生〉

外来のことになりますが、来院いただくだけで、少しでも元気になって帰宅していただくことがポリシーです。外来の時には少しでも笑顔が多くなるようにと会話をして、自分の元気を少しでも患者さんに届けられたらと考えています。自分が心身ともに健康でいなければ、元気を与えられないので、自分の日々の体調管理も気を付けています。

〈Y.T.〉

そうですね、きっと多くの患者さんがそんな肱岡先生から多くの『元気』をもらってきたのではないでしょうか。他の先生方はどんなポリシーをお持ちでしょうか?

〈森實先生〉

私は、治療開発のデザイン検討など、患者さんの顔を直接見られない仕事も増えてきていますが、その場合もその先に患者さんの笑顔があることをイメージしながら仕事をしています。

〈Y.T.〉

私も現在は患者さんと直接お会いできない仕事をしていますが、私も先生と同じくその先に患者さんの笑顔があることを考えて仕事をしています。患者さんが最終的に元気になることが大切だと思います。

さて、続いての質問ですが、先生方が日々患者さんを元気にするために、治験に関しても医師/看護師/CRC/事務等が協力し、チーム医療として取り組まれているかと存じます。多くの治験をチームとして進める上で、院内のコミュニケーションの取り方で様々な工夫をされているかと存じます。コミュニケーションという点につきまして、私達CRAからの提案や協力が役に立った事例等がありましたらお願いします。

〈奥坂先生〉

CRAの提案や協力が役に立った事例ですが、あるCRAの活動によって症例の登録が進み、治験責任医師(以下、PI)として助けられたということを最近経験しました。この事例から私たちとCRAがうまく協力できるような体制が取れればと考えています。そのCRAはアピールが上手であり、読み手にストレスを感じさせないメールを配信されていました。
また、PIやCRCは担当している治験についてはよく認識していると思いますが、CRAが他の医師(分担医師)にも適切に情報提供をしていく事も治験推進のために重要だと思います。他の治験や業務の中に埋もれてしまわないように適度なタイミングで適度な量の情報を届けることは簡単なことではありませんが、ぜひ前向きに検討していただきたいことです。

〈坂本〉

そうですね。例えば、症例登録が進まない時に他の施設での成功事例を含め、先生方に症例登録に役立つ情報として提供できるようにしています。

〈奥坂先生〉

たくさん治験を実施しているので、どのような治験が実施中か忘れてしまうこともありますので、どれだけ先生方に思い出していただけるのかが大事です。

〈Y.S.〉

メールの書き出しでも、どう表現すれば伝わりやすいか、覚えていただけるかに配慮してメールを作成していますが、どれだけ先生方に思い出していただけるかということも念頭に置いて、内容を工夫していきたいと思います。

〈坂本〉

先生が仰られていた読み手にストレスを与えないメールに関する工夫として、できるだけ簡潔な内容にして、メールを作成するように、当社は指導を行なっています。

〈Y.T.〉

アポイントに関しまして、これまで直接面談が中心の時は夕方以降が多かったですが、リモート/web面談が取り入れられることで時間が柔軟に設定されるようになってきました。外部からの仕事を受ける際に、ご都合のいい時間など先生同士でお話されていることがございましたらご教示いただきたいです。

〈肱岡先生〉

Web面談が実施されるようになってから、むしろアポイントが増えてしまい、毎日のようにweb面談があります。個人的にはweb面談は時間調整が難しいので、メールで済ませられることであれば、メールの方が有り難いと思います。
スケジュール調整サイトなどでアポイント調整を求められることが多いのですが、ダブルブッキングしてしまうことがよくあります。アポイント可能日に丸をつけてから、一週間後くらいにアポイントが決まりましたと連絡がくることがあり、連絡が遅すぎてブッキングしてしまいます。丸をつけてから1、2日で決定して欲しいと感じています。

〈Y.T.〉

奥坂先生、森實先生もweb面会よりメールベースの方がやりやすいと感じておりますでしょうか?

〈奥坂先生〉

メールの場合は、リマインドをもらっても見落とすことがあります。そのためweb面会もメールも、どちらもあまりない方が良いというのが正直な感想で、難しいところです。
CRA担当者が交代する時のアポイントは不要で、メールでの挨拶のみで良いと考えています。実際に多くの方がメールのみの挨拶に変わってきていると感じています。

〈肱岡先生〉

web面会とはいえ、勤務時間外の設定は配慮した方がいいですね。

〈Y.T.〉

ご意見いただき、有難うございます。気を付けなければならない点については今後の業務に活かしていきたいと思います。
それでは少し話は変わりますが、医療現場でもwebなどITインフラがフル活用されるようになってきており、それを受けて弊社でも、テクノロジー通して医療に貢献したいと考えております。先生方が日々診療されている中で、患者さんの治療をより良くできる、QOLをあげられると考えられるテクノロジーはございますか。

〈奥坂先生〉

患者さんの手持ちの残薬の錠数と次の診療日を入力すると、自動的に必要な処方量が処方箋に反映されるシステムがあれば良いと思います。

〈森實先生〉

患者さんの待ち時間が長いので、その間に患者さん自身が、今日処方を希望する薬剤を電子パッドなどに入力しておくなどできると良いと思います。治験では、患者さんの待ち時間にCRCが対応してくれています。

〈奥坂先生〉

日本では錠数で処方はできず、日数で処方しなければならないので、システム導入のハードルの高さを感じます。

〈森實先生〉

患者さんは、錠数で残薬をカウントされる方と、日数でカウントされる方がいるので難しいと思います。

〈肱岡先生〉

残数は、錠数を提示される患者さんが多く、日数を提示される方はいない印象です。

〈Y.T.〉

薬剤師の立場から考えましても、挙げていただいたシステムが導入されれば、薬剤師業務の効率化も図られ、服薬指導等の直接患者さんへ割く時間が増え、QOLの向上に繋がるのではないかと考えます。

〈肱岡先生〉

ユニクロのレジのような、持参薬の種類や錠数を瞬時に読み取るシステムがあれば良いですね。

〈Y.T.〉

貴重なご意見ありがとうございます。頂いたご意見を参考に検討して参ります。
続いてお伺いしたい事ですが、特にがん領域において、先生方が日常の診療下でご経験された「患者さんが治験によせる期待や希望」といったお声やエピソードがございましたら差し支えない範囲でお聞かせいただけますでしょうか。

〈奥坂先生〉

昔と比較して患者さんは治験情報を希求している方が増えたのですが、それを満たす情報を提供するインターネットサイトがないと感じています。治験のサイトはありますが、患者さん自身で探すのも難しく、患者さん目線に立ったサイトではなく、分かりにくいのではないかと思います。
行政、業界、病院、患者会などの協力が必要なのではと感じます。

〈Y.T.〉

治験を紹介しているサイトとしてはオンコロというサイトもございますが、そこには全ての治験が掲載されているわけではございません。
先生がおっしゃるように、全ての治験の情報が一か所で確認できるようなサイトが行政、業界、病院、患者会などの協力で作成されると患者さんがより治験にアクセスできるようになると思います。

〈Y.S.〉

現在、治験は臨床試験情報登録センターに登録する義務がありますので、そのデータを用いて患者さん向けに何らかの取り組みができる企業や財団法人がいればよいのでないのかと考えています。ただ最新情報の維持管理もしなければならず、その維持管理が大変だと思います。

〈奥坂先生〉

維持管理は大変だと思いますが、企業の方も治験の症例組入れが促進されてメリットはあるのではないかと思います。

〈肱岡先生〉

仮にそういった形で患者さん向けの情報を包括的に取り扱う団体を設立する場合、各企業から資金を得ての運営、維持管理となるでしょうか。

〈坂本〉

その結果、恩恵を受ける団体から出資してもらい運営管理をする形が現実的だと思います。なお、全ての治験を網羅しているわけではないのですが、弊社が提携していますオンコロのサイトでは、弊社がCROとして受託する治験を掲載して紹介していますし、他社の治験も多く載せられています。……

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