今回Oncology times intellimでは、インテリム特別顧問の西條長宏先生にインタビューを行い、その内容を3回に渡りまとめましたのでどうぞご覧ください。

西條長宏先生とインテリム
どのような経緯でインテリムの特別顧問となられたのでしょうか
2011年に近畿大学で特任教授を勤めていたとき、インテリムの方が大学まで来て、顧問へ就任してもらえないか、という依頼がありました。その方はインテリムの社長の代理の営業の方でした。当時、私は抗がん剤開発に関わる国内外の先生方や業界の方々との人脈が広かったので、いろいろなアドバイスができて、お役にたてると思い引き受けました。また、JCOG代表者の経験からCROが実際どのような活動・運営をしているのかについても興味がありました。
ご就任から13年経ちますが、この間に何が先生のご記憶に残っていらっしゃいますか
私が日本臨床腫瘍学会の特別顧問をしていた2012年~2017年の当時は秋葉原にインテリムのオフィスがありました。そこで社員の教育、研修のための腫瘍学に関わる基礎、臨床の総論や各論の膨大な資料を作成していました。その作成は非常に大変でしたが、一方やりがいのあったことが記憶に残っています。
研修資料は、現在はインテリムのビジネス戦略開発部で毎年更新されていますが、何れかの機会に医師の目を入れた改訂があってもいいのではと思っています。
また、入社予定者との面談に参加をしたり、臨床試験に対してどれだけ治験に理解があり、興味を持っているかを聞くことにより適正度を評価して社内CRA認定も行いました。
そのほか2019年までは毎年社員向けに教育講演を実施していましたが、コロナ禍になって中断しています。
教育講演を今後再開される予定はございますか
学問の進歩は日進月歩なので、現場で臨床研究をやっている現役の医師の話を聞くことは意義のあることです。如何にして専門の先生から定期的に最新の情報を聞く機会をもつか、常に念頭におく必要があります。
既に外部講師を招いての社内勉強会なども実施していると思いますが、一般社団法人Global Clinical Platform(以下、「GCP」)※ の理事の先生方からインテリム社員向けの教育講演を実施してもらうのもよいと思います。私からGCPの理事の先生方へ講演依頼することは可能です。
社員だけの勉強会の場合、独善的な自己満足に終始したり、間違った解釈をすることもあります。従って、これらの勉強会にアドバイザーとして先生方に同席してもらい意見を聞くことも有意義なことと思います。
※: Global Clinical Platform
がん領域、再生医療領域、難病領域などのアンメットメディカルニーズの高い疾患に苦しむ患者さんが質の高い臨床試験に平等に参加できることを目的に2018年に設立
インテリムという会社について、どのような印象や感想をお持ちでしょうか
多くのCROの開発、営業などの発想はどこも同じと思いますが、インテリムは社長の発想が他のCROと異なるところが面白いと思います。
国立がん研究センターなどの先生方は、退職後製薬会社の開発、薬事、営業など、それまで懇意にしていたつながりのある方々と関係を続けることが多いと思います。
一方私の場合、国立がんセンター退官後近畿大学に勤務していた時、インテリムという会社の存在も知らなかったし、来室されたインテリムのその営業担当者とは殆ど面識がありませんでしたので、非常に驚きました。
インテリムの社長は製薬業界出身ではなく、アメリカのシンクタンクにいて、日本で会社を立ち上げたと聞いてさらに驚きました。それまで製薬会社で勤めている方がCROを立ち上げると、私共と似通った考え方の人が多い気がしていましたが、インテリムは斬新なアイデアで仕事をしているという印象でした。私とインテリムとで何らかの化学反応が起こり、何か面白いことができるのではと思いました。
入社予定者との面談やCRA認定作業など、これまで医療現場でやったことがないことにも携われるので、新鮮で、かつ合理的と思いました。
西條先生のインテリムへの出社頻度や、出社時の過ごし方についてご教示下さい
就任当初から週1回、1日あたり2時間ほど出社し、先ほどお話した社員向けのオンコロジー領域に関する教育資料の作成に多くの時間を割いていました。そのプレゼンテーションのやり方についてもアドバイスしました。それ以降も毎週出社していましたが、コロナ禍もあり2023年以降は月2回ほど出社しています。
最近は外部の先生への連絡やセミナー打ち合わせなどを、インテリムの担当者と行っています。また、インテリムへの中途採用者の口頭試問を行うこともあります。先日は某製薬メーカーの開発戦略会議にアドバイザーとして参加しました。
先生の取り組み
普段実施されているお仕事の内容、また、最近特に力を入れて取り組んでいらっしゃる事についてご教示下さい
国立がんセンター在職中はJCOGの代表を、また退官後もJCOGのIDMC(Independent Data Monitoring Committee)の委員長をやってきましたが、現在はこれらの役職はリタイアしています。
今は都内のクリニックで主に健康診断に携わっていて、自ら治療をすることはありません。国の仕事としてはPMDAの抗がん剤副作用評価委員を現在も行っていて、大量の資料が毎月メールで送られてきます。
健康診断では確実にがんを診断するようにしています。がんの早期発見・早期治療は非常に大事です。がんは一人で治療できません。抗がん剤は副作用がありますので、チームで治療に取り組むことが必要です。
健康診断ではタイムリーに発見した患者さんを、最善の治療ができる医療機関へ送り届ける、ひいてはその先で臨床試験の対象となることも念頭において取り組んでいます。
西條先生が理事長をされている一般社団法人Global Clinical Platformですが、このPlatformで具体的にどのような活動や計画がございますでしょうか
Global Clinical Platformはインテリムに併設される一般社団法人という形になっています。一般社団法人の行動範囲はマンパワーや資金の関係でかなり限定されていますが、ここでは国際会議シンポジウム、3か月ごとの講演会、セミナーの開催などを活動の骨幹に据えています。
臨床試験に関する社会啓蒙を行う上で、会社としてのインテリムではできないことを法人としてやることができるのが一番のメリットです。GCPのような組織を利用して講演会を開催することで、一企業が行うよりも参加者を集めることが容易になり、参加費などの会計を独自で管理することにより活動が継続しやすくなります。
残念ながらコロナ禍で活動が減りましたが、2024年11月にゲノムに関する講演会を再開しました。今後も最新の研究成果を聴講する場を設けるなど継続してがんに関わる情報を発信していく予定です。
抗がん治療法の開発が日進月歩で進んでおります。特に肺がん領域における治療成績の更なる向上には、早期診断が今後の課題との論説もございます
早期診断は重要です。しかし、患者さんが最初に医療機関に来院する機会で最も多いのは自覚症状によるものです。もちろん健康診断での異常の指摘によるものも挙げられます。画像診断や病理診断で確定診断がつけば外科、放射線、薬物療法を受けることになります。 近年、国民の健康管理意識も向上していますし、診断手技は相当進歩してきています。
例えば、肺がんの場合、昔は胸水のある進行した患者を対象として抗がん剤の比較臨床試験を行ったりしていましたが、いまはクリニックで胸水のある患者を発見することはありません。それだけ診断される時期が早まっているということです。
しかし、これ以上の早期診断は難しいと思います。もし、これ以上精度を上げて診断することを考えれば、診断に費用・時間双方のコストがかかり現実的ではありません。

併せて、市井の人々へのがん啓発活動にも学会で取り組まれていると思うのですが、学会に限らず、どのような活動が考えられますでしょうか。
早期診断の重要性を市民へ周知する方法として、がんに関わる専門家による座談会などの新聞広告は非常に反響がありました。
昔は雑誌刊行も行われましたが、今ではオワコンになりつつあります。
学会での一般向けの展示やGCPなどの社団法人によるメディアへの働きかけも重要です。
また市民公開講座やインターネットを通じた宣伝も必要です。しかし、これらに参加するPopulationは限定されていることが悩みの種です。
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