Oncology Times

メタバース事業 第1回<医療業界におけるDX技術とメタバース構想>

<今月のトピック>

2022年11月に実施した、インテリムの親会社であるレメディ・アンド・カンパニーのデジタル事業本部へのインタビューに続く第二弾として、今後のメタバース事業に関する取り組みや方向性についてインタビューを行いました。今回はデジタル事業本部に加え、レメディ・クロスリアリティ株式会社の寺田社長にも話を伺いました。医療業界におけるデジタル技術の発展と、メタバースに関する当社の構想をぜひご覧ください。

対談させていただきました先生のご紹介

メタバースビジネスについて

intellim

メタバースとは、アバターを介して仮想空間で相互コミュニケーションを取る技術であるかと思います。今後、様々な分野で活用される事が期待されている技術であると認識しております。本日は、レメディXRとしてメタバースをどういった形で活用していくのか、メタバースの今後の展望などについて伺います。早速ですが、メタバースに関して、市場規模はどの程度として想定しているのでしょうか。

井上部長

メタバースの市場は世界規模で92兆円、国内では24兆円で更に拡大していくと予想されています。メタバースという概念自体は20年ほど前からあり、世間一般にはオンラインゲームから徐々に普及してきました。近年ではブロックチェーン技術(情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を暗号技術を用いて分散的に処理・記録するデータベースの一種)が確立し、メタバース空間上で経済が成り立つようになったことをきっかけに、市場規模は急拡大しています。国内でもコロナ禍を経て仮想空間での活動は益々広がりを見せており、経済産業省が特定の企業や管理者に依存せず、個人がデータを管理するWeb3.0の事業環境を整備する方針を提示する(※1)などしています。
※1:参考HP;https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/Web3/index.html(別ウインドウで開きます)

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今後、市場が益々拡大していくうえで、課題などあればおしえてください。

寺田社長

メタバースの更なる普及には使用するデバイスなどハード面の開発が課題となっています。HMD(※2)は日常生活で使用するには使い辛く、一般的にはまだまだスマホを使用する場面が多いかと思います。今後は眼鏡型やコンタクト型のデバイスが開発されることで、メタバースがより身近なものになっていくと考えられます。

寺田社長と井上部長

井上部長

みずほ銀行の産業調査(※3)によると、2035年や2045年まではスマホの普及率より、これらのデバイスの普及が上回り、スマホやPCは2050年には普及率は0%になると予測されています。
※2:Head Mounted Display / ヘッドマウントディスプレイ
※3:https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1070_04.pdf(別ウインドウで開きます)

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医療業界ではメタバースなどのデジタル技術はどの程度普及しているのでしょうか。

井上部長

普及率はまだまだ低いと言えます。メタバースを医療業界に展開するには法的な課題が多く、患者様の情報を扱うための応用がまだ限定的であることが原因です。

寺田社長

デジタル技術には、現実世界を仮想的に拡張するAR(※4)やバーチャルの世界に入り込んだ体験ができるVR(※5)と、それらの技術を活用した3次元の仮想空間を意味するメタバース空間があります。メタバース空間を構築する費用は、AR/VR技術を用いたシステム開発より一桁多く金額がかかるなどコスト面の課題もあります。コンテンツなどのソフト面のコストダウンに伴い、機器などのハードも揃ってきて、ゆくゆくは全体的にコストダウンしていくものと思っています。
※4:Augmented Reality/拡張現実
※5:Virtual Reality/仮想現実

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製薬メーカーや病院がメタバースを導入するメリットは何でしょうか。

寺田社長

将来的にはメタバースが医療業界において重要な役割を果たすことができると考えています。VRやARの技術は既に取り入れられており、例えば手術前のカンファレンスで患者の臓器や腫瘍の場所を確認したり、実際のオペの手順を検討することに応用されています。

井上部長

メタバースは現在、医療教育やトレーニング、臨床試験や治験計画のシミュレーション、リハビリテーションや心理療法などに利用したいというご意見を様々な先生方から聞いています。また、遠隔医療や、僻地医療など、医療へのアクセスの向上にも貢献していけると考えます。

レメディのメタバースについて

intellim

2022年のDIAへ出展され、2023年1月から予約販売も開始されていらっしゃいますが、反響はいかがでしょうか。

井上部長

これまでには、AR/VR技術を用いた教育教材の依頼や3Dモデリングの作成などの販売実績があります。また、クリニックからは何件かお問合わせをいただいています。その他、製薬メーカーなどと今後のメタバース活用方法についてお話をする機会もあります。

寺田社長

先日は再生医療学会でメタバース/VR/AR技術に関する展示をしましたが、我々のブースを訪問された7~8割の方は、このような技術の使用経験がないということでした。一般に普及する前に医療業界でいち早く応用できるようにしていくのは、我々に課された課題であると考えています。

intellim

他社と比較して、レメディのメタバース空間が、医療業界に特化している特徴は何でしょうか。

井上部長

当社のメタバース空間では、アクセス権制限が厳しい医療システムの構築が可能です。例えばある医療機関を想定したメタバース空間においては、医師や看護師の権限を変えるなど細かい管理が可能になります。こうした利点を活かし、現在は学会での利用に対する問い合わせが多く来ている状況です。その他、具体的には当社のメタバース空間は以下の機能を備えてリリースを予定しています。

当社のメタバース

寺田社長

当社のメタバース空間は、アバターを通した音声通話機能やアバターのリアクション、パソコンの画面共有の機能を有しており、VRゴーグルへも対応しています。また現在、プライバシー保護に関する機能も開発中です。他にも当社ではメタバースプラットフォームを活用したDCT(※6)やVCT(※7)への応用も進めています。
メタバースプラットフォームとMUGEN Platformを組み合わせることで、デジタル技術を活用した治験のDX推進を目指します。
※4:Augmented Reality/拡張現実
※5:Virtual Reality/仮想現実

メタバース空間イメージ

intellim

リリース予定のハプティクスグローブと連携した機能については、具体的にどのような機能やサービスの提供となるのでしょうか。

寺田社長

ハプティクスグローブを用いれば、生体データを24時間測定することが可能になりますが、ウェアラブルデバイスで測定したデータが医療データとして治験に使用できるのかという規制の問題もあります。また、触った感じを再現することが可能なため、アニマルセラピー(※8)への応用も可能ではないかと考えています。
※8:動物との触れ合いがもたらす癒し効果や、心身の健康回復効果を利用した医療行為や活動のこと。

井上部長

ハプティクスグローブではないですが、VRを使ったうつ病の治験は実際に海外で実施されていて、VRゴーグルである画像を見せた際のうつ病の改善効果について検討されています。また、リハビリテーションに応用できることは既に証明済みで、体が動かない患者さんにゴーグルをかけてリハビリを実施すると効果があるとされているほか、腕や足を失ってしまった患者さんの幻肢痛の治療に応用が可能であると考えています。

会議中の様子

intellim

レメディのメタバース空間を普及させていくなかで、インテリムのようなCROが関連会社としてあることを強みにできることがあるでしょうか。

寺田社長

弊社にはこれまでに培った臨床試験実施のノウハウや、CROとして製薬メーカーや医療機関側の情報を持っていたり、要望や意見を知っているという強みがあります。そういったニーズに対して我々のデジタル技術を提供できればと考えています。

intellim

オンコロジー開発部として協力できることがあればぜひ教えてください。

井上部長

先述した通り、再生医療開発部と共同で学会に出展し、レメディのデジタル技術の認知を広める活動なども行っています。今後はオンコロジー開発部ともそういった取り組みを行い、デジタル技術の普及に繋げていければと思っています。……

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