<今月のトピック>
新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う措置として、医薬品医療機器総合機構より「医薬品及び再生医療等製品の適合性調査におけるリモート調査の実施方法について」が発出され「GCP実地調査/適合性書面調査」の『リモート調査』が行われるようになりました。
今回は、今年の6月、7月にリモート調査を経験した弊社社員に、実際の流れ、工夫した点、対面調査との違いなどを聞いてみました。是非ご覧ください。
Q. まず初めに、準備から当日までの実際の流れについて教えてください。
A:準備から当日までの実際の主な流れは以下のように5段階なりました。①では、リモート調査用根拠資料を作成し、依頼者の準備したクラウドサーバーに格納を行いました。この時点では、まだゲートウェイシステムを通じた資料提出の運用は開始されていなかったため、依頼者がシステムを用意しています。②では、当局より「条件・範囲を指定する資料」として具体的な資料が指定されたため、改めてクラウドサーバー経由で提出しました。③の実地調査はリモートではなく現地訪問の調査でした。④の照会事項対応では、当局からメールで照会事項が記載されたエクセルファイルが送られてきましたので、回答作成、提出等、約2週間程度やり取りを行いました。⑤の書面調査では治験依頼者のオフィスに訪問しましたが、当局との面談は、MS Teamsを使用したリモートにて実施しました。なお、書面調査の前営業日に、当日の問い合わせ事項について当局から通知があったため、最終的な準備は前営業日に実施しました。

Q. リモート調査用のクラウドはあらかじめ依頼者の方でされていたのでしょうか。リモート調査のために改めて構築されたのか、PMDAからの要望等あったのか等ご存じであれば教えてください。
A:当局通知では、当局へ資料を提出するために資料を格納するクラウドを治験依頼者が準備することとのみ規定されており、治験依頼者毎に異なるクラウドシステムを使用しているようです。このため、元々治験依頼者が利用していたクラウドシステムのアクセス権を当局担当者にも付与し、資料提供を行っていました。なお、eTMFそのもののアクセス権を付与するという話もあったのですが、通知において「申請者は当局の調査担当者が目的とする資料を容易に探すことができるように」とあることから、適合性書面調査チェックリストの項目名のフォルダ、サブフォルダを作成し、資料を格納することとしました。eTMFではこの対応ができないため、別のクラウドシステムを利用したという背景があります。
Q. Web会議システムなどのリモートツールの用意、設定は依頼者側でされたのでしょうか。セキュリティ面などでの指定はあったのでしょうか?また当日、回線不調などなかったでしょうか。
A:適合性書面調査当日は、Teamsを利用しました。セキュリティ面についても治験依頼者が責任を持って確保することが求められています。会議設定自体も治験依頼者が実施することと規定されています。なお、Web会議システムについては、当局から特に指定はなく、治験依頼者側が任意のシステムを用いることで問題ないようです。リモート調査での回線数は、1~2回線を設定することが規定されていますが、当局から回線数の指示があります。経験したものは1回線のみの設定でした。
Q. ベンダーを使用しているなど、複数の事務局拠点や保管庫がある場合の対応について、複数拠点を繋げるときの苦労などありますでしょうか?
A:原則としては、治験依頼者側の関係者は1拠点に集まって参加することが多いようです。ベンダーなど他社が関連している場合には、他社ともweb会議接続を行って書面調査に臨みます。この場合、他社が回答するセクションを決めて、当日のAgendaを作成するといった対策が必要かと思われます。
Q. その他、適合性書面調査当日のweb会議について、当局から求められた事項があれば教えてください。
A:リモート調査当日のWeb会議の内容については録音録画は、事前許可の基、可とされています。ただし……
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