薬事は医薬品・医療機器の研究・臨床開発・申請・審査・販売における各段階で、薬事規制に関連する対応を行う仕事です。
同じ業界である医薬品開発や、医療関連の仕事に就いている方の中には薬事職への転職を検討する方もいることでしょう。
専門性が非常に高い薬事職を目指す方の多くが直面する課題は、採用担当者の目に留まる志望動機の書き方ではないでしょうか。
この記事では、薬事職を目指す方のために志望動機の書き方と例文を紹介します。
薬事職を志望される方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
志望動機の書き方
転職活動を行う上で最も重要となるのは志望動機です。履歴書へ記載することはもちろん、面接時に質問されることも数多くあります。
しかし自分の思いや熱意を効果的に伝えるためにはどうすれば良いのか、お悩みの方も多いでしょう。
ここでは、準備や方法を紹介します。
志望動機を書く前にするべきこと
志望動機は、自分をアピールするための絶好のタイミングであり採用担当者の方に好印象を与えるための大切な箇所です。
志望動機を作成するためには、企業が求める人材の把握と自身が持つアピール材料を整理することが大切です。
志望動機を実際に書く前に、まず以下の内容を整理してみましょう。
予めこれらの内容を整理することで自分のスキルやアピールポイントなどを効果的に伝えられます。
- 自身(自分)のスキルや資格の整理
- やりたい仕事内容や目標
- 応募する企業の情報や、業界・競合他社の整理
自身のスキルや資格の整理
転職活動において、自身のスキルや資格を整理し、把握することは非常に重要です。
自身の強みになり得るスキルや資格を正しく把握せずに、採用担当者に自分をアピール出来る志望動機を作成することは非常に難しいと言えます。
まず、自身が保有する資格や経験した業務をリストアップしてみましょう。
資格や研究開発・営業・品質管理などの経験など、思いあたるものを記載していきます。
次にリストアップしたスキルや資格が応募先の企業でどのように役立つかを考えます。
例えば医薬品開発に近い業務を経験している方であれば『医薬品の規制業務、承認申請のプロセスの理解度が高いため、業務をスムーズに進められる可能性がある』などです。
このように自分が持つスキルを客観的に分析することで、希望する企業や業務において自身がどのように役に立つのか、またどのような点が採用側のニーズにマッチする可能性があるか、アピール材料を詳細に洗い出すことが可能になります。
応募理由や目標の明確化
自身が希望する職種や業務内容や目標と言った転職活動における「軸」を明確にすることが大切です。
「なぜその仕事をしたいのか」「なぜその仕事でなければいけないのか」など、応募する上での明確な目標や理由がない場合、熱意が上手く伝わらない志望動機になりかねません。
これは転職活動を成功させるためだけでなく、自分のキャリアを考える上でも重要になります。
まずは、自身が「なぜ薬事職に応募したのか」「何を成し遂げたいのか」考えてみましょう。
応募する企業の情報や、業界・競合他社の整理
応募先の企業情報を調査することは、転職活動を行う際に必ず行うべき準備です。
更に応募先の企業だけでなく、競合他社や業界情報なども踏まえた志望動機を準備しておくと、自身の志望動機が応募先の企業に特化したものとなり、採用担当者に強い印象を与えることが出来ます。
1つ前の応募の理由や目標が応募先の企業でどのように実現できるか考えて整理することで、志望動機に具体的なビジョンを持たせることができます。
昨今はほとんどの企業がHPで自社のビジョン・ミッション・バリュー・事業内容・製品やサービスに関する情報・ニュースリリースなどを掲載しています。これらを事前に確認することで、最新の業績や戦略、文化について理解できます。
企業情報を調べることにより、企業の事業の方向性や強み、市場での動向を理解し、自身がどのように応募先に貢献できるかを整理することができるでしょう。
採用担当者の目に留まる志望動機の書き方と例文
ここまでの志望動機を書く前の準備ができたら、企業が求める人材であることを志望動機を実際に書いていきましょう。
多くの採用担当者が特に知りたいのは以下の項目です。
- なぜ医薬品開発の業界を志望するのか
- なぜこの企業に勤めたいのか
- なぜその職種を志望するのか
- 入社後どのように活躍してくれそうか
- 将来どのような人材になりたいか
- 志望度や熱意
以下でそれぞれを解説していきます
なぜ医薬品開発業界に志望するのか
業界への志望理由を明確にすることで自身の応募に対する情熱や熱意、業界に対する理解を採用担当者に示せます。
志望動機を書く前に書き出した
- 自分のスキルや資格
- 応募した理由や目標
- 応募先の企業情報 など
これらとマッチしていると、具体性と熱意を感じさせる志望動機に近づきます。
例えば、自身の大きな目標が「薬事の仕事を通して、多くの人の健康に貢献したい」というものであれば、それが製薬業界への志望理由になり、応募先企業が強みとしている領域や事業と組み合わせることで、更に具体性を持たせることができます。
なぜこの企業に勤めたいのか
採用担当者の目に留まる志望動機を書く際、「なぜこの企業に勤めたいのか」という点を明確にすることが重要です。
志望動機に含めることで、自身が応募先の企業に対し、具体的な理解と興味を持っていることを示すことができます。
応募先への思いを強く訴求するためには、まず応募先の企業の特徴や強みについて研究しましょう。
例えば、企業の製品・文化・業界内での位置付け・社会への貢献など自身が特に魅力を感じるポイントを挙げてください。
そして、これらのポイントが自分のキャリア目標や価値観とどのように合致するかを説明し、自身の志望動機が単なる一般論ではなく、その企業に特化したものであることを示すことができます。
なぜその職種を志望するのか
「なぜその職種を志望するのか」この部分を明確にすることで、自身がその職種に対して深い理解と熱意を持っていることを採用担当者に示せます。
具体的な志望理由を示すことで、応募者が職種の要件や業務内容をしっかりと理解していること、またその職種に対して真剣に考え、情熱を持っていることが伝わるからです。
採用担当者は、単に仕事をしたいという願望だけでなく「その職種を通じて何を成し遂げたいか」「どのような価値を企業にもたらすか」を見極めたいと考えています。
志望する職種に関する動機を述べる際には、まずその職種がどのように自身のキャリア目標や専門性に合致するかを明確にしておきましょう。
特に薬事職は業務の専門性が非常に高いため、採用担当者も応募者が「薬事職として自社で活躍できそうか」「どんなモチベーションで薬事職を志望しているのか」といったことをチェックしたいと考えています。
単に仕事をしたいだけでなく、その職種を通じて自身の目標を達成したい(成長し、貢献したい)という強い意志を持っていることが伝わると良いでしょう。
入社後どのようなことが活かされるのか
「入社後どのようなことが活かされるのか」という点を志望動機に含めることは、採用担当者に自身の即戦力と将来的な貢献を示す良い方法です。
この点を明確にすることで、自身が企業に対して具体的な価値を提供できる人材であることを強調できます。
まず自身の現在のスキル・経験・専門知識などが、どのような形で企業のニーズや目標に合致するかを考えましょう。
例えば、既に医薬品開発に関する経験があり、更に英語スキルを持っている場合には、海外での薬事申請業務において活躍できる可能性があります。
自身が希望する職種や企業において、自身がどのように価値を発揮して貢献できるのかが伝わるようにしましょう。
将来どのようになりたいか
これは、自身のキャリアのビジョンが企業の目指す方向性と合致していることを示し、長期的な貢献を意図していることを採用担当者に伝えるために役立ちます。
このキャリアビジョンを作成する際には、「自身の専門分野でどのような専門家になりたいか」「どのような役割を果たしたいか」など、具体的に述べましょう。
その際には、自身がどのように学び続けスキルを向上させるかについても触れると将来的なビジョンの明確性が伝わり、より良い志望動機となるでしょう。
志望度や熱意
自身が応募先企業に対して入社したい・業務に取り組みたいという意欲を示す部分です。
この部分を書く際には、自身がその職種や企業に対してどのような点に魅力を感じ、情熱を持っているかを具体的に表現すると良いでしょう。
例えば、業界や企業が持つ唯一のポイントや、仕事の内容、企業の使命や価値観に対する自身の感情や考えを述べることです。
「その仕事を通じて何を成し遂げたいか」「どのように貢献したいか」を示すと仕事への情熱を伝えることが出来ます。
また自身の経験や過去の活動から、なぜ企業に情熱を感じるようになったかを説明するのも効果的です。
志望動機を書く際の注意点
志望動機を書く際には、自身の希望をそのまま述べるだけでは不十分です。
採用担当者の目に留まるような効果的な志望動機を作成するためには、特定のポイントを押さえ、注意すべき落とし穴を避ける必要があります。
ここでは志望動機が際立つよう、重要なポイントと注意すべき点について詳しく解説します。
伝えたいポイントを整理して記載する
志望動機を書く際には、伝えたいポイントを整理して記載することが重要です。
長すぎたり情報が多すぎる志望動機は重要なポイントが埋もれてしまい、採用担当者にアピールしたいポイントが適切に伝わらない可能性があります。
また、ただ情報を羅列するだけでは何が重要なのか分かりづらく、読み手を疲れさせてしまう場合もあります。
伝えたいポイントを絞り込むためには情報の優先順位をつけ、企業が求める人材像と自身がどのようにマッチするのか、自身が持つ熱意や貢献できるポイントについてなど、何を一番強くアピールするべきであるか考えましょう。
整理した情報を簡潔に述べることで、自身の志望動機がより説得力を持ち、効果的に伝わるようになります。
自分の要望を軸としない
志望動機を書く際には、自身の要望や利益中心的な考えにしないことが重要です。
例えば「スキルアップしたい」「仕事も私生活も充実させたい」と記載した場合、企業が求めるのは、個人的な成長ではなく応募者の成長が企業の成長にどう貢献するかに関心があります。
そのため自分中心の志望動機は、採用担当者に自己利益を優先する印象を与え、企業のニーズや目標に対する理解が不足していると見なされる恐れがあります。
志望動機を書く際には、自分のスキルや経験・要望が企業にどのような貢献を与えるのか具体的に説明することが肝心です。
抽象的に書かない
志望動機を書く際には、抽象的な表現を避け具体性を持たせることが重要です。
例えば「薬剤師として社会に貢献したい」というような一般的な表現のみでは、具体的な行動や目標が伝わらず、稚拙な印象を与える可能性があります。
抽象的な志望動機は業務におけるビジョンが不明確であると見なされやすいため、採用担当者に強い印象を与えることが難しくなります。
志望動機に具体性を持たせるためには、自分がどのようなスキルや経験を持っていて、それらをどのように活用して企業の目標やプロジェクトに貢献できるかを明確に述べることが重要です。
具体的な業務の例や過去の経験・達成した成果などを挙げ、それらがどのように応募先の企業に価値を提供できるのか具体的に説明しましょう。
条件や待遇面だけの志望動機にしない
志望動機を書く際には、条件や待遇面だけを強調しないことが肝心です。
給与や勤務条件のみに焦点を当てると、自分のキャリアや業務に対する熱意よりも待遇を優先していると誤解される恐れがあります。
待遇や条件について言及する場合は、それが自身のキャリア目標や専門性の発展にどう関連するかを明確にすると良いでしょう。
これにより、自身の志望動機が単に待遇面だけでなく、仕事への真剣な取り組みや企業への貢献を重視していることが伝わります。
志望動機によくあるQ&A
転職活動を行う際、多くの求職者が同様の疑問や不安を持っています。
ここでは、志望動機に関するよくある質問とその回答をQ&A形式で紹介します。
該当する疑問があれば参考にし、より良い志望動機の作成に役立ててください。
応募する職種は違うが将来的に薬事になりたいと伝えてもいい?
面接や履歴書において「現在応募している職種とは異なるが、将来的には薬事になりたい」という意向を伝えることは、問題ないことがほとんどでしょう。
このように伝える主なメリットは、あなたのキャリアに対する長期的なビジョンとその企業で実現したい目標を採用担当者に明確に示せる点です。
ただし、採用担当者の中には応募職種に対する熱意とその職種で即座に貢献できる能力という点に注力している場合があります。
応募要件を確認し、経験者を求められる記載があれば即戦力になる人材を求めているため、将来的な内容よりすぐに企業に貢献できる内容を伝えましょう。
志望動機が浮かばない場合、どうすればいいですか?
志望動機が浮かばない場合は、まず自身の経験やスキル、その職種や企業に対する興味を深く考察することから始めましょう。
自己分析を行い、これまでの学習経験や実務経験、興味のある分野や特技、なぜその業界や職種に魅力を感じるのかを明確にします。
次に企業のWebサイトやニュースリリース、業界関連の記事などから情報を収集し、企業の文化・使命・戦略・製品やサービスについて理解を深めます。
企業が直面している課題やその業界の動向に関する情報も収集し、自分がどのように貢献できるか考えてみましょう。
まとめ:適切な志望動機で自分を伝えましょう
この記事を通じて、製薬企業への志望動機を書く際の重要なポイントをご紹介しました。
良い志望動機は自分のスキル・経験、そしてその職種や企業に対する情熱を織り交ぜることで構成されます。
重要なのは、自己中心的な要望や抽象的な表現を避け、企業のニーズや目標にどう貢献できるかを明確に示すことです。
また、志望動機には具体性を持たせ、短くても内容の濃い文章にすることが肝心です。
企業が求める人材像を理解し、自分の強みや経験がそれにどうマッチするかを示しましょう。
さらに将来的なキャリアの目標やビジョンを共有することで、採用担当者にあなたの長期的な貢献と企業への献身を伝えられます。
適切な志望動機は、採用担当者にあなたの真剣な意志と職への熱意を伝える強力なツールです。
この記事で学んだポイントを活用して、自分を最大限にアピールしましょう。