今回は、当社の臨床開発部に所属するK.Aさんと、S.Eさんに当社が力を入れて取り組んでいるRBMについてインタビューをしました。
その模様を、全2回に分けてお届けいたします。
今回は、RBMを推進するメリットや一番大切にしているポイントについて聞いてみました。
是非ご覧ください!
目次
- 1 【事前情報】医薬品開発におけるRBMとは?
- 2 まずは、RBMを推進することのメリットはどういう部分にあるのでしょうか?
- 3 インテリムのRBMはどういった取り組みを行っているのでしょうか? 特色などはありますか?
- 4 インテリムのRBMはいつ頃から本格的に始動したのでしょうか? きっかけは何かありましたか?
- 5 RBMを推進していく上で一番大切になってくるポイントはなんでしょうか?
- 6 RBMを推進する上で、大切にしている視点や心がけはありますか?
- 7 早い段階から治験依頼者さんが何を望むか?を具体的に考えることで、出口の方までも提案ができる、ということですね?
- 8 具体的にどのような提案をするのでしょうか?
【事前情報】医薬品開発におけるRBMとは?
Risk-Based Monitoringの略で、簡単に言うと、臨床試験・治験における「リスク」を評価し、マネジメント、モニタリングすることで、より質の高い臨床試験を実施していくことを指します。
今回は、RBMについて伺っていきたいと思います。
まずは、RBMを推進することのメリットはどういう部分にあるのでしょうか?
K.Aさん:今まで事後の出口管理と言われていた時代は、基本、モニターがカルテ閲覧やSDVをすることで問題点を発見し、発見した問題点に対して是正を行えば良い、という考え方が主流でした。しかしRBMの推進により、どのように試験の質を高めていくかを医療機関側が事前に意識するようになってきたことがメリットかな、と思います。
インテリムのRBMはどういった取り組みを行っているのでしょうか? 特色などはありますか?
K.Aさん:モニタリング頻度を減らすことが目的ではなく、リスクに対してどう向き合っていくかを事前にしっかりと検討し、適切なモニタリング手法を選択することで、効果的な質の担保をすることがRBMの最終目的と考えて取り組んでいます。
インテリムのRBMの特色は、事前にリスク評価を行った結果、リスクの内容に応じて、入口も出口も両方管理したほうが良い試験であれば、両方の管理をしっかり行う等、試験の質に対するリスクを細かく洗い出すことで、試験毎に適切なモニタリング手法を考え、選択することができる部分にあると思います。
柔軟で最適な選択ができるという点は、インテリムの規模感だからできることなんだと思います。
インテリムのRBMはいつ頃から本格的に始動したのでしょうか? きっかけは何かありましたか?
K.Aさん:海外では、2010年頃からRBMの話題が出ていましたが、2016年頃に「日本でもそろそろRBM・QMSが本格稼働するだろうから対応を始めておかないとね」という社内の声がきっかけとなり、始動しました。
GCPの正式な通知発効より前にQMSの骨格を作り出し、それに則ったRBMを開始しました。GCPが改訂となった移行期、インテリムにRBM推進室が組織され、ここからさらにRBMへの取り組みをさらに強めていきました。
その当時、近い将来を見据えて、日本でQMSやRBMの実装が進むというのを予測できていたので、事前に取り組んでいけたことが非常に大きなことだったと思います。
RBMを推進していく上で一番大切になってくるポイントはなんでしょうか?
S.Eさん:一番大切なポイントは、型にはまった問題だけではなく、薬剤や試験毎に、何が大事か、どのデータ・プロセスが大事かをしっかり把握し、みんなが同じ意識をもって試験に取り組むことが大切なポイントだと思っています。
あとは、新型コロナウイルスの流行に代表されるような、外部環境の変化による新たなリスクをいかに早く察知して、行動に移すことができるか、というのもポイントになってくると思います。
次の記事で詳しくお話ししますが、当社ではコロナ禍において1回目の緊急事態宣言が出る前から事前にリスクの洗い出しを行い、患者さんの治療や試験が止まらないようどのようたな対応ができるか、検討を始めるという対応を取りました。
RBMを推進する上で、大切にしている視点や心がけはありますか?
K.Aさん:試験受託前の時点から専門領域の先生と色々話をしたり、早い段階からいかにその試験のことを具体的に考えるか、ということを大切にしています。
また、試験のことを考える際は、CROの視点だけではなく、治験依頼者がどういう試験を実施したいのかであったり、試験を実施する臨床現場と医師のこと、両者を深く理解し、試験のポイントを正確に定めることを意識しています。
早い段階から治験依頼者さんが何を望むか?を具体的に考えることで、出口の方までも提案ができる、ということですね?
K.Aさん:そういうことです。
例えば、リスクベースドと言われたCROはいかに訪問回数を減らすか等といったことに注力することが多いですが、訪問頻度を減らすことだけがRBMではないと考えています。
試験を終わらせたらそれで終了なのではなく、その薬が実際に販売された後のことまでを考えると、どういったデータを集めたほうがよいか、どういう試験をしていくと良いか、というところまでしっかり考え治験依頼者さんと話し合うことが重要だと考えています。
治験依頼者のニーズに沿っていない提案は提案ではなく押しつけで、相手がしてほしいところにすっと手をのばしてあげることが提案だ、と考えています。
具体的にどのような提案をするのでしょうか?
K.Aさん:例えば、適切な試験結果が得られるのはどのような患者像か?をチームでしっかりディスカッションし、適切な薬効を評価できるよう、入口管理をしっかり行い試験のアレンジや症例の組み入れを行うこと等が挙げられます。
これは一見、RBMを「効率化」と捉えた場合には、少しずれているように見えますが、試験開始前の入口管理を全くせずに試験を実施していただけでは試験結果が出ないということをリスクと捉え、治験依頼者のニーズを満たすためには、何が必要でどのように試験を進めて行けば良いか?という試験のポイントをしっかり把握し、インテリムがリードしながら対応策を練ることを意識しています。
実際の試験自体はもちろんですが、それだけではなく市販後の事も考え、総合的に試験をデザインすることはインテリムのPMやPLが重要視していることです。
次回に続く。